2012年4月25日水曜日

中医学と漢方

最近NHKのニュース番組で漢方薬のことがよく取り上げられています。
私はあくまでも陰陽五行論、漢方のメソッドの元、食を中心とした日常生活に向かうことしか基本的に申し上げることは出来ないのですが、今回は少し医療について書いてみようと思います。

私自身も漢方を勉強してふむふむそういうことかーと思ったことをお伝えしようと思います。
タイトルにもあります中医学と漢方ですが、今回の番組中でも完全に使い分けています。
中医学というのは文字通り中国の医療です。
漢方は中国の言葉ではありません。
漢方は奈良時代に中国から伝来した古代中国医学を基にし、その後日本が民族の風土の影響を受けながら独自に発展し実践された医学体系です。

ちなみに韓国は韓医学と呼ばれています。
韓国は昔から地域性を意識して調査が行われ、人間の体質を四つのカテゴリー(四象医学)に分けて、それぞれに食養生を指し示し、医療が展開されています。

今、地域医療である中医学を国際基準にするという流れが作られようとしているそうです。
今日見たニュース番組を見てる限り、その国際基準に中医学を引き上げるというときに、欧米人などの臨床的検知がどうなっているのかが気になりました。

私が学校で学んだことは、前述した通り、漢方は日本の風土、気候、日本人の体質に基づいたメソッドだということです。中国も韓国も同様にその土地に基づいた言わば地域医療なのです。
イギリスでは王室も取り入れているホメオパシーという地域の伝統医療があり、学校で少し習いました。
日本でも話題になり、某メディアクリエイターの方がしきりに発信していたご記憶がある方もいらっしゃるかと思います。
朝日新聞でも一面で取り上げられ、日本人の患者さんがホメオパシーを取り入れることに関してニュースを伝えていました。
当時、学校でその講師の先生に日本人の体質にホメオパシーが寄り添えるのか、効果的なのかと質問したところ、今のところそれは立証されていないとの事でした。

この「国際基準」が定められていくと日本の「漢方」の立場が危ういと今日の番組では言っていました。
日本は漢方という世界を長い時間をかけて培っており、国際基準が定められることによってその信憑性が下がることを危惧していると伝えています。
そこで、日本は今後そうならない努力を独自の視点で続けることが肝要だと。
そして漢方を意思表示していく土壌がないのも現状なんだそうです。
西洋医学が台頭してるからでしょうか。。

今日のニュースを見て、漢方も地域医療という状況下で信憑性が下がるという危惧が何故あっていくのかがどうも私には腑に落ちません。ここの部分をこれから掘り下げて勉強していこうと思います。

日本は生薬の効能を効率的に抽出する高い技術を持って医療に向かっています。
ここで明確な土壌がないということが残念です。
そして今後中国は国内で作られている漢方薬(生薬)の値段を引き上げると言っていました。
現在、日本の漢方薬は輸入に頼っていますが、日本のある製薬会社はラオスの土地で漢方薬を栽培しているそうで独自のマーケットを確保するために生薬の輸入を中国に頼りきらない方向を築いているようです。

私が疑問に思うのは生薬のマーケットを広げて、医療を「国際基準」と引き上げ、あくまでも地域医療だった中医学がこうして展開されることに違和感を感じます。
これからもっと勉強して、この疑問に向かおうと思います。
日本は漢方という日本独自の医療に誇りを持ち、この「国際基準」によって立場が危うくなるという危惧を払拭できたらいいなと思います。

今日の番組で、日本は西洋医学の限界を東洋医学が補い、東洋医学の限界を西洋医学に補うという形を取っていく傾向だと伝えています。
いいことだと思います。命の可能性が広がる訳ですから。
患者という立場で医療をどう受け取め、治療に向かうかは皆さんのお心次第です。
病は気からということ、治療も自分がこれ!と思った医療の世界に向かうことが一番だと思います。

最後になりますが
私が漢方を勉強していて面白いなと思うのは、この地域医療それぞれが医療という分野から、哲学的に世界が広がっていくことです。あくまでも個人的な見解です。
医学を勉強してるというよりは哲学を学んでいる気分になっていきます。
漢方的に捉える現象が身体の宇宙を通して紐づいていく瞬間があると、一気に自分の世界観が変わるのです。
その医療と肉体の距離感を楽しみながら勉強しています。
地域医療という分野を信じて向かうという「信仰」のような感覚では決してなく、ロジックを知っていくことを楽しんでいます。